キセキのはじまり 堂本光一 BLコミック


驚きに思わず顔を上げたのが不覚、首筋にチクリとした痛みが走った。光をじっと見つめると、零一郎は素直に謝る。じりじりと足を擦り、ハーコンを睨み据えながら、位置を入れ替えたサイファは、月光に照らしだされた顔を眺めた。純粋な好意だけでない、単なる憧憬や敬意だけでもない、ある種の毒と熱を持った禁断のまなざし。ゆっくり内部をこすられて、言いようのない感覚に思わず嶋田にすがりついた。「そう?僕の糸は、君の小指に繋がっているように見えるんだけど」。こらえようと思ってもひっきりなしに声がもれこぼれ、強く握りこまれるたびに全身がびくびくとふるえる。

「三時過ぎ。思ったより遅くなった」。「……うっ」。逃げることのできない一葉は、ビク…と肩を強張らせて、口腔に流し込まれた焼酎を無理やり嚥下する。「なにって、ちょうどいいところに、真崎のケツがあるからさ。手持ち無沙汰だから、撫でてみたんだけど」。「ん…!」。「なにをそんなに怒ってる。減るもんじゃなし」。

優しい感触に、うっとりとしていたら、僕の唇の合わせ目を、ぺろり……と。そのとき、カシャン、という音が聞こえた。

小さく笑った宏晃は、立ち上がって一葉を腕に抱き上げた。

「間に合って、よかった。おまえの泣き顔は見たくない」。血こそ出なかったが、相当きつく噛(か)まれたらしい。父の遺体にとりすがって泣く義母と異母弟を、ただぼんやり見つめていた俺を、伯母たちは可愛げがないとなじった。「……なに、気に入らない?じゃあ、これからは大地が僕の相手をしてくれる?」。

だいたい、いくらオカマ相手だって、果たして自分に男同士の恋愛なんてできるんだろうか。「泊まってく」。そういうキスがある、ということは知っていたけど、こんなものだとは想像もつかなかった。「……!?」。


ボーイズラブ小説作品紹介


〈手〉の彫刻を創り続けてきた西浦亮は、画廊を経営する宮坂に出会った。彼に理想の〈手〉を見いだし、触れ合い、身体を重ねながらも、やがて亮は、宮坂のすべてを求めている自分に気づき始めるのだが……。一方、宮坂もまた、彫刻家とオーナー、そしてモデルという関係を変えられないまま、湧き上がる気持ちを伝えられずにいた。2人の擦れ違う想いを、せつなく描いたラブ・ストーリー!!

タイトル:アポロンの束縛
著 者 名:有馬さつき
レーベル:アズ・ノベルズ
発 行 元:講談社

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