東京Vシュラン 鈴木桂治 少年愛小説


彼が男で、自分が男であること?実はそんなことではなかった。(すご、い……なに、これ?)キスといえば、母親と交わしていた挨拶代わりの穏やかに甘いそれしか知らなかった。粘膜同士の接触の心地よさに、彼の茶色の瞳が妖しく揺らめき、次いでゆっくりと閉じられた。日付は……一九〇五年、三月二十日。隙(すき)をつかれて押し倒されてしまったが、これ以上のことは絶対にさせないという覚悟である。「琳!」。「待て待て嶋田っ、服を脱がしてどうするっ」。

「ありがとう」。

「美人度?」。「五分くらい」。咲輝は真面目な表情でいう。「痛くなければ、仕置きにならん!」。「――ちょっと緩いかな」。一番端のベッドは、僕が初めて保健室のお世話になった時に寝ていたものだ。

「痛そうだから、つい手加減して拭いちまうけど……なんだか、壁画の修復をするときに似てるな」。緩急をつけて握りこまれ、撫で上げられ、撫で下ろされ、親指の腹で先端を丸くたどられる。でも、今度は違う。ゆっくりと唇を離して、連は京の涙を指で拭った。

髪の毛越しではなく、直接ウィルフレッドを感じたい。「わかった…。入れてやる」。顔色を覗き込もうとした視界に、きちんとした根室らしくもなくシャツのボタンをいくつも開けた胸元が飛び込んでくる。「ん?専属になって、相手を一人に絞った方が、いいだろうが。俺なら、この上もなく安全な相手だぞ。それとも、オヤジどものあいだを渡り歩きたいか?」。父の遺体にとりすがって泣く義母と異母弟を、ただぼんやり見つめていた俺を、伯母たちは可愛げがないとなじった。「……なかったって言ったろ」。

いやむろん、彼が喜んでくれるのならそれでいいのだけれど――いきなりのこの提案に、さすがの薫も面食らう。「な…っに、しやがる!」。


ボーイズラブ小説作品紹介


ヨーロッパ小国の大公殿下・理央と教育係のルシエルは秘密の恋人同士☆日本で育ったため、「オマケの王子」と言われる事も多く、まだまだ勉強中。そんな理央を支えるルシエルは、相変わらず厳しいが、二人きりの時は熱烈な愛を言葉と身体で伝えてくれる。そんな中、大公としてチャリティーパーティーを開くことになった理央。無事に成功したかに見えたその夜、理央にさらなる試練が……!!

タイトル:がんばる王子様
著 者 名:高月まつり
レーベル:オマケの王子様
発 行 元:フロンティアワークス

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