まけたらアカン! 福留孝介 ボーイズラブ文庫
バスタオルで身体を拭きながら、どうしようかと考えたが、ないものはしかたがない。
コンテストの実態を聞いて呆然とする泉水に、さらに追い討ちをかける事実も発覚する。唇が離れた一瞬のスキを縫って、俺は言った。おそらくは赤くなっているであろうそれを隠すために、篤臣はさらに首をねじ曲げた。グッと腕に力を入れて、樋口の肩を押し返す。いまにもくずおれそうな、男にしては華奢な肢体へ手を伸ばしかけて、その目を見開く。布団の下で、ジェレミーの大きな手のひらが、冷たくなった航洋の肩を撫(な)でる。
本社ビルの地下駐車場に車を置いた後、ふたりはすぐにエレベーターに飛び乗って十八階にある会議室に急行した。「じき慣れる」。すぐに戻ってきたレオンの手には、剥(む)き出しの一万円札が二枚握られていた。「絶対にそんなことはない。家族のようなつき合いをすることだと、勘違いしたんだ」。たたきつけるように言った後、怒りに大きな目を爛々と輝かせて『ムカつく』と更に吐き捨てた希を、本間はまじまじと見つめた。「十時十五分か。まあまあかな」。憎からず思っていた?可愛い部下?とんでもないことだ。
「そんなのわからない!」。とはいえ、それが亜生にとっては笑い話で済む程度のことだと知ると、ホッとする一方で複雑な気分になる。呼吸が徐々に楽になり、全身をがんじがらめにしていた緊張が少しずつほどけてゆき―いくらもたたないうちに、海の唇からは甘い嬌声がもれこぼれ始めた。自分の身に何が起こったのかわからず 茫然としているうちに、覆い被さってきた宇敷の唇が軽く触れて、薄い粘膜越しに感じた思いがけない体温の高さに胸がどきんと跳ねた。「あ…っ……?」。まして、普段はどれほど温厚に見えても根室はヤクザだ。酒を飲んでも顔色が変わらないので、どれくらい酔っているのか見当がつかない……。
屹立を弄る手と、身体の奥を探る指。無意識に指を唇に押し当てた時、長身の人影が近づいてくるのが目に入った。宥めるように肩をたたく名波に、力ない笑みを返したものの、泉水の心は超絶ブルーに染まっていた。濃密なキスは、濡れた音を立てて離れた。
俺は驚いて元浦の顔を見つめる。「誰かぁ!アーイシャー!」。
ボーイズラブ小説作品紹介
バイト先の喫茶店で偶然拾ったコインロッカーの鍵―。 悪戯心からそのロッカーを開けてしまった大学生の三枝は、盗まれた翡翠の置物をめぐる中国系マフィア同士の抗争に巻き込まれ……。 超オレ様な美しきマフィアの顔役・王から、快楽の拷問を受けるハメに陥った三枝……もはや平和な日常には戻れない!?ハラハラありラブありのボーイズ・エロティック・アクション!
タイトル:傲慢な龍の帝王
著 者 名:鹿能リコ
レーベル:講談社X文庫、 ホワイトハート
発 行 元:イースト・プレス
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