Rainbow 岡本健一 BLコミック


「あんな目立つポスターが、ところかしこにベタベタ貼ってあったのにか?」。満足気に微笑むディロンは、相変わらず海を見据えている。ゆっくりと指を抜き出されながら、揶揄する声で問われたけれど、言い返すだけの気力が残っていない。「ん?専属になって、相手を一人に絞った方が、いいだろうが。俺なら、この上もなく安全な相手だぞ。それとも、オヤジどものあいだを渡り歩きたいか?」。「ごめん…まだ、俺……終わってないから―」。「へぇ…じゃ、風呂(ふろ)上がりに寒い格好させたせい?」。なにが起こっているのか、この目で確かめないと、すごく気になる。

身体(からだ)が――身体が動かない。「初音を抱きたい」。「六百万だっけ?足りない資金。マリに投資してもいいよ」。笑みの余韻を残したまま廣岡に返したのと同じ言葉を口にすると、小篠の目がわずかにきつくなった。両親と喧嘩をして梅原彩奈のテディベアを見る為だけに、一人でこんな遠くまで来てしまった柚月は、大丈夫だと突っ張っていたけれど本当はとても心細かったのである。じりじりと足を擦り、ハーコンを睨み据えながら、位置を入れ替えたサイファは、月光に照らしだされた顔を眺めた。

「すいません、なんかちょっと――飲みすぎたかな」。ぷいとそっぽを向いた篤臣の頭に、江南は大きな手をポンと置いた。再度、熟れた唇を塞ぐと、両手で胸を強く押し返されたが、まったく意に介さずくちづけを続ける。シャーヒーンはエンジンを止めると、車から砂漠に出た。

……綺麗だ。

和哉は、座っているのに卒倒するかと思った。苦しい。

すっかり姿を消した星の代りに、地平線近くにたなびく雲の影が、輝き始めている。甲板から見えるはずもない島影を探しているのだろうか。経験豊富というわけでは間違ってもないけれど、それでもこんなに気持ちのいいキスは初めてだと思う。……こんなことが、自分の望みだったのだろうか。「ああ?」。妙なことに感心していると、もう一度熱い吐息が下りてくる。


ボーイズラブ小説作品紹介


15年振りにスイスから帰国し、日本に馴染めずにいた高宮は、ある日、珈琲の薫りに誘われて一軒のカフェへと辿り着く。そこで出会った優雅で美しいギャルソン・楽に次第に惹かれていき――。※イラストは含まれていません。

タイトル:カフェラテの純愛
著 者 名:剛しいら
レーベル:B−cube
発 行 元:フロンティアワークス

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