RHODESIA 岩水嘉孝 ボーイズラブ文庫


涙でぐしょぐしょの顔が一生懸命に息を吸ったり吐いたりしていて、かわいかった。どうでもいい、と言わんばかりに元浦がつぶやく。

切れ長の漆黒の双瞳に通った鼻筋、酷薄な印象を与える薄い唇には、微かな笑みが浮かんでいる。「あ、うん――ごめん、ブツブツ言って……」。「……無理だよ……もう、動けない……俺は、もう……だめだ……」。「わかっている。……お前の『気』は、甘いな。味見だけで……俺を高ぶらせる」。倉庫係で培った腕力という頼りがあったので、ほたるにはまだユースフをいさめる余裕があった。瞬きした薫は、濡れた睫の感触に慌てて光から顔をそむけた。「あてつけがましい…」。

男相手には不適切な発言である。「そう、俺の名前呼んでて」。それを見逃すシャルルではない。「俺が、怖くないか?」。「あの……幸太郎さん?」。(ちょっと待て!聞いてねえぞ、こんなの!息できないって)口が駄目なら、鼻で息をすればいいようなものだが、こういう非常時には、人間そんな思考は働かない。

強く手を掴まれて、痛い…と顔を顰(しか)めた。

「……」。桐谷の手の中のものがどうなっているのか、成は知っているのだろうか。こんな色っぽい顔、もったいなさすぎて誰にも見せられやしない。アルヴァレスグループへの恨みがどれほど深くても、ミサキ自身を憎んではいないと言ってくれた。

「……うん…いいよ、何しても…―」。そんなことをして契約して総支配人になっても、後で後悔するだけだ。


ボーイズラブ小説作品紹介


紅茶専門店を作りたい大徳寺静佳は、幻の紅茶の販売契約のため単身で紅茶王ヒューイット・モームの元に乗り込む。 一度はすげなく断られるが、食い下がる静佳にヒューはテストに合格したら販売を許可すると言う。 そのテストとは出される紅茶の中から、ヒューが指名した紅茶を当てること。 だが、はずれの紅茶には媚薬が入っていて……。

タイトル:黒衣の公爵
著 者 名:剛しいら
レーベル:ダリア文庫e
発 行 元:学習研究社

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