桜っ子クラブ 知念侑李 BL小説


逃げ惑う彼の舌を捕らえて執拗に吸いあげ、貪る。僕はその間、ずっと動転したままで硬直していた。おまけに女装だと?いったいなんの間違いで、自分にこんな災難が降りかかってくるのだろう。「やっと静かになったな」。何度も、何度も。窓の外に浮かんでは消える鬼の顔を冷ややかな視線で零一郎は眺める。

シャープな顎のラインは精悍な男臭さを演出していて、身体全体の比率でいくと顔の割合が小さい。バスタオルに包まれたまま抱え上げられて、渚はベッドルームに運ばれた。小さな声で、篤臣はボソッと答えた。(やば……)だが、落ちる、と思ったその瞬間に、江南は俺を解放してくれた。

素っ気なく踵を返した広い背中は、俺をたまらない気分にさせた。根室の顔色が悪いことに、廊下の端のわずかな明かりでようやく気づいた。「……ああ」。「えーと……靴、履いたままなんだけど」。驚きよりも、胸に込み上げる想いのほうが強かったらしい。触れるだけだった唇が重なり合い、舌が口腔の中に入って来る。(だから、安心していいよ──)見おろした瞳が、そう囁く。

安芸はきっと実家へ戻り、離婚の時に彼を引き取った母親と暮らし、その母親のために結婚して子供を作って、家庭を持つのだ。

長瀬は引くつもりがないらしく、友孝がもぞもぞとしているあいだに唇の隙間から舌を潜り込ませてくる。いや、きっともうとても好きなのだろう。

「寝相が悪かったら部屋から叩き出すからな」。……というか、どうして練習でもやらなかったことが、今ここで行われているんだ!客席ではみんな狂喜乱舞しているようだが、俺はそれどころではなかった。どうして忘れていられたのかと、不思議なくらいだ。同時に、自分がもうそんなに高ぶっていたことにも初めて千秋は気づいた。


ボーイズラブ小説作品紹介


高原広司(攻め)は、恋人に振られたばかりの高校教師。大学生の東堂友紀宗(攻め)は、両親が病院を経営する大金持ち。宍原統唯(攻め)は、シモネタ好きの超下品な高校生。そして、洋館・キャッスル大河原のオーナー・大河原スミレ(受け)は、ロマンチックな恋愛に憧れる元気でカワイイ男の子。ホモが、それもスミレ以外は攻めばかり集まったから大変!広司は友紀宗にカラダを狙われて……。

タイトル:小高い丘のラブ&ピース
著 者 名:高月まつり
レーベル:アイス文庫
発 行 元:オークラ出版

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